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ドラマCD『いま、会いにゆきます』
発売日:2008年06月25日
価格:¥3,990(税込)
初回封入特典:キャストメッセージカード(予定)

【CAST】
秋穗巧:石田彰
秋穗澪:平野綾
秋穗佑司:緒方恵美

【原著簡介】
作者:市川拓司

【緒方恵美の感想】
そうして届いた、映画やテレビの時とは違いほぼ小説に準じたシーンが展開される、ブ厚い台本(原作ファンには嬉しい←オタク)。読んだだけでいろんな涙がこぼれた。 
でも本当にヤバかったのは、現場だった。

前後編2枚組の大作。 
1時間前後のドラマCDなら(現場にもよるが)だいたい1日、それも5~6時間で収録を終えることが多いのだが、この作品は2日間に渡って収録された。 
……その後半が、特に、凄かった。

1シーン終わるごとに、全員がティッシュボックスに走る。
そのシーンの演者だけでなく、スタジオ内にいて聞いている他の役者も含めて全員がである。そして10分、休憩になる。気持ちが入りすぎて次のシーンの導入が全部、鼻声になってしまうからだ。

全員が泣いてしまうので、別録り(本線の声とかぶると困る声を別線で録ること)もすぐにはできない。「こんな現場初めて…」と全員でいいながら、みんなで一緒に鼻をかむ(笑)。オンナノコの役者は、現場で鼻をかむなんてナカナカ出来づらいけど、そんなことかまっていられないくらいなのだ。

中でも圧巻だったのは、石田彰君の芝居。
彼とは何かと縁があり、いろんな作品で共演させていただいてきたのだが、こんな石田君は初めてみた。

というか、女の役者が泣くシーンがある作品は割とよくあるけど、男の役者が泣く……それも短く泣いてハイ次のシーン、じゃなく、ずっと泣き続けるなんて作品自体が、稀有である。  
しかも難病を抱えている、難しい役どころだ。 それを彼は、いとも簡単に(……の筈はないけど)深く浅く気持ちを揺らし続け、笑い、ひきつり、哀しみ、泣き続けていた。 
それを聞くだけでも、本当に一聴の価値アリの作品だと思う。

かくいう私は、石田君の芝居を聞いては泣き、泣いては切り替え、いろいろせわしなく過ごしていた(笑)。 
そして後半の中盤過ぎくらいのシーンで、初めて、それは起こった。

平野綾ちゃん演じるお母さん相手に、佑司(私の役)が、初めて自分の抱えてきた悩みを吐露するシーン。お母さんがまたいなくなってしまう、と聞いて、ぽつぽつと口を開き、段々とまらなくなってわーっと泣きながら激白する、本作中の名シーンのひとつである。  
凡作であれば、彼女と私は別録り確実なシーン。
でもこのCDは、本当に微妙な掛け合い、微妙な「ナマ」の掛け合いがあってこそ成立するCDだ。なのでこのシーンも、イマドキの音響シーンにおいては比較的少ないチャレンジではあるが、一緒に掛け合いで録ることになった。

このような条件下でそうしなければならない時、だいたい私の方が、自分のセリフでは爆発しつつ、相手役が喋っているときは音量を落としたり、相手のセリフの隙をついて鼻をすすったり息を吐いたりして、邪魔をしないのが鉄則だ。 
だからこのシーンも、そのようにやってみることにした。

ところが、自分でも思ってもみない現象が起きた。 
とまらないのである。自分の声が、身体が、抑制できない。 
これは、困った。

よく小さい子供が、あまりにも興奮して泣きすぎて、その後いつまでもしゃくり上げ続けながら、言葉にならない言葉を発し続けることがある。 
私の身体は、その状態に陥ってしまったのだ。

プロとしての頭が、抑えなきゃ、静かにしなきゃと思っていても、佑司に支配されてしまったカラダが止まらない。お腹の底の方からしゃくりあげが次々とわき起こってきて、カラダは揺れ続け、息が勝手に漏れていく。

それでも綾ちゃんが喋っている、大事なセリフを台無しにするワケにはいかない。仕方なく私は、呼吸を止めるという戦法に出た。しゃっくり(「しゃくり上げ」とは微妙に違うのだが……)を止めるときに息を止めると収まるように、綾ちゃんのセリフの間にガマンすれば、少しでも収まるかと思ったのだ。

だが、無情にもカラダは揺れ続ける。ずっと横隔膜が震えている。 
コドモ還りをしてしまった私のカラダは、呼吸を止めたくらいじゃゼンゼンダメなのだった(本物の子供はそんなことできないんだから当たり前だけど(^^;)。

それでも音量は少しだけ抑えられ、心と体は佑司のまま、文字通り激しく揺れながら、なんとかそのシーンを録り終えることができた。 
長く声優をやってきた中でも、初めてのことだった。

そんな風に録った作品なので、やっぱりというか案の定、私のカラダはしばらくの間、作品世界に支配されたままだった。

その日はその後ミーティングが2件。冷静なアタマを使うべく……いや使おうと努力したにも関わらず、結局夜まで、作品がカラダを巡り続けていた。

寝ようとしたけど眠れない。……もう1時を回っている。明日も早いのに。 
仕方ないので、石田彰にメールを打つことにした。(←メイワク)

「深夜にごめん。このメールで起こしてしまいませんように。寝ようとしたけど、君の芝居がアタマを巡って眠れない。どーしてくれる?(笑)」 
「こんなこと初めてで、もちろんこんなメールを共演者に送るのも初めて」  
「今のままのあなたで、あなたの思う通りに進んでいってください。そしてまたいつか縁があった時に、刺激しあえる役者でいられるよう頑張ります」
……確か、そんな内容のメールだったと思う。

そうしたら1時間後に、返信があった。 
起こしちゃったか! と心配したけど、どうやら彼も私と同じで、眠れていなかったらしい(笑)。  
メール、特に携帯のメールが苦手で時間かかるけど、僕も、今、この時間に気持ちを伝えておかなきゃと思ったから送るよ、というような書き出しで、彼にしては長い……本当に珍しく、長い長いメールを頂いた。

なんだかホッとして、グッと胸が熱くなった。 
なのになぜかそれで落ち着いて、深い眠りに落ちられた。 
まるでお父さんにあやされて眠る子供のように……(笑/失礼!>石田氏)。

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